CQ8 PCNSLに対する抗がん薬の髄注療法は推奨されるか?
 推  奨 1 
抗がん薬の髄注による有意な生存期間延長効果は検証されておらず,診断時髄液細胞診陰性例では髄注は推奨されない。(推奨グレードC2)
 解  説 
 PCNSLはしばしばくも膜下腔浸潤をきたすため,HD—MTX療法にMTXを主とする髄注療法の併用が予防的治療として臨床試験でも施行されることが多い。髄注のルートとしては,脳室内Ommaya reservoir,腰椎穿刺などが挙げられる。しかし,症例対照比較後方視的研究では,MTX髄注による生存期間延長,腫瘍制御,神経毒性に関する効果は認められなかった1,2)(それぞれレベルⅢ,Ⅳ)。その他,AraCやヒドロコルチゾンも髄注に使用されるが,明らかな治療効果の検証はされていない。
 さらに,髄注に伴う合併症としてOmmaya reservoir感染,くも膜炎,白質脳症などが指摘されている。40例以上の髄腔内播種陽性症例を検討した複数の報告(陽性率は10~20%程度が主)からも,播種陽性による生命予後への影響は否定的な結果が多く3)(レベルⅢ),またHD—MTX療法やHD—AraC療法により通常殺腫瘍細胞効果に足る髄液内濃度が得られるため,現在進行中の臨床試験では,予防的抗がん薬髄注は含まれないことが一般的となっている。しかし,初期導入療法に髄注を行わない治療法では,同じ化学療法に髄注を加えた場合と比べ,早期にかつ高率に再発を認めたとする小規模の非比較試験の報告もある4,5)(レベルⅡb)。髄液細胞診陽性のPCNSLに対しては,MTXを主とする抗がん薬髄注療法が行われることもあるのが実情である。
◆文  献  中枢神経系原発悪性リンパ腫CQ8構造化抄録一覧をダウンロード(エクセル形式)
1) Ferreri AJ, Reni M, Pasini F, et al. A multicenter study of treatment of primary CNS lymphoma. Neurology. 2002;58(10):1513—20.(レベルⅢ)
2) Khan RB, Shi W, Thaler HT, et al. Is intrathecal methotrexate necessary in the treatment of primary CNS lymphoma? J Neurooncol. 2002;58(2):175—8.(レベルⅣ)
3) Kiewe P, Fischer L, Martus P, et al. Meningeal dissemination in primary CNS lymphoma:diagnosis, treatment, and survival in a large monocenter cohort. Neuro Oncol. 2010;12(4):409—17.(レベルⅢ)
4) Pels H, Juergens A, Glasmacher A, et al. Early relapses in primary CNS lymphoma after response to polychemotherapy without intraventricular treatment:results of a phaseⅡ study. J Neurooncol. 2009;91(3):299—305.(レベルⅡb)
5) Pels H, Schmidt—Wolf IG, Glasmacher A, et al. Primary central nervous system lymphoma:results of a pilot and phaseⅡ study of systemic and intraventricular chemotherapy with deferred radio-therapy. J Clin Oncol. 2003;21(24):4489—95.(レベルⅡb))

ページトップへ戻る