CQ9 PCNSLに対して自家幹細胞移植を伴う大量化学療法は推奨されるか?
 推  奨 1 
初発PCNSLに対する自家幹細胞移植(ASCT)併用大量化学療法(HDC)(主にチオテパを含むレジメン)は,現段階では一般臨床としては推奨されない。(推奨グレードC2)
 解  説 
 自家幹細胞移植(autologous stem cell transplantation:ASCT)を併用した大量化学療法(high—dose chemotherapy:HDC)がPCNSLの初発,再発ともに試みられている。
 The Groupe Ouest Est d’Etude des Leucemies et Autres Maladies du Sang(GOELAMS)は,初発PCNSLに対し,初期治療〔MBVP療法:MTX,BCNU(国内未承認),VP16,メチルプレドニゾロン〕+全脳照射30 Gyの後,地固め療法としてBEAMレジメン(BCNU,エトポシド,AraC,メルファラン)による骨髄破壊性大量化学療法(myeloablative HDC)の第Ⅱ相試験を60歳未満症例に施行し,4年無増悪生存割合および全生存割合が各46%,64%であったと報告した1)(レベルⅡb)。
 また,Ilerhausらは,65歳未満の初発症例に対し,同様に初期化学療法(HD—MTX),強化療法(AraC+チオテパ:国内販売中止)に続き地固め療法としてBCNU/チオテパによるmyeloablative HDCを施行した。5年生存割合は69%を予測しているが,地固めの後に全脳照射45 Gyを追加している2)(レベルⅡb)。IlerhausらはさらにASCT併用HDCでCR非到達例にのみ全脳照射を追加する方式で13例を治療し,3年無増悪生存割合と3年生存割合は77%に達したと報告している3)(レベルⅢ)。
 これらの報告では,生存割合は比較的良好な結果がみられているが,通常60歳未満の若年症例のみが対象になり,PCNSLでしばしば経験する治療前のPSが低い症例や半数以上を占める60歳以上の高齢者は通常治療対象とならないという選択バイアスが大きい結果であることに留意が必要である。また,全脳照射を併用した試験が多いこと,ときに10%を越える治療関連死がみられることなど,現時点ではまだ試験的治療の段階にあるといえる。
 AbreyらはBEAM(BCNU,エトポシド,AraC,メルファラン)による大量化学療法・自家移植を含む初発PCNSLに対する治療プロトコールの結果を報告しているが,無イベント生存期間の中央値5.6カ月と予後は不良であった4)(レベルⅡb)。よって,自家移植の成績は大量化学療法の内容に大きく依存しているといえる。これまで,PCNSLに対して良好な治療成績が報告されている大量化学療法レジメンの多くはチオテパを含んでいるが,日本国内では発売中止となっている。
 以上より,ASCT併用HDCは,若年者など条件の良い症例で生命予後の延長効果が期待されるが,治療関連死率も高く,現状は依然試験的治療である。
 ASCT併用HDCは確立されたエビデンスがなく,現段階での実施は臨床試験に限られる。

<注意>
 チオテパ(thiotepa):国内販売中止

◆文  献  中枢神経系原発悪性リンパ腫CQ9構造化抄録一覧をダウンロード(エクセル形式)
1) Colombat P, Lemevel A, Bertrand P, et al. High—dose chemotherapy with autologous stem cell trans-plantation as first—line therapy for primary CNS lymphoma in patients younger than 60 years:a multicenter phaseⅡ study of the GOELAMS group. Bone Marrow Transplant. 2006;38(6):417—20.(レベルⅡb)
2) Illerhaus G, Marks R, Ihorst G, et al. High—dose chemotherapy with autologous stem—cell transplanta-tion and hyperfractionated radiotherapy as first—line treatment of primary CNS lymphoma. J Clin Oncol. 2006;24(24):3865—70.(レベルⅡb)
3) Illerhaus G, Muller F, Feuerhake F, et al. High—dose chemotherapy and autologous stem—cell trans-plantation without consolidating radiotherapy as first—line treatment for primary lymphoma of the central nervous system. Haematologica. 2008;93(1):147—8.(レベルⅢ)
4) Abrey LE, Moskowitz CH, Mason WP, et al. Intensive methotrexate and cytarabine followed by high—dose chemotherapy with autologous stem—cell rescue in patients with newly diagnosed primary CNS lymphoma:an intent—to—treat analysis. J Clin Oncol. 2003;21(22):4151—6.(レベルⅡb)

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