(Ⅱ)公開後の取り組み
1. 公開後の組織体制
   脳腫瘍診療ガイドライン拡大委員会ならびに本ガイドライン作成グループは,診療ガイドライン公開後も活動を継続し,診療ガイドラインの導入促進,有効性評価,診療ガイドラインの推奨に影響を及ぼす新たな研究の出現チェックなどを行う。システマティックレビュー委員は解散する。
2. 導入
   ガイドラインの活用を促進するために,「詳細版」をもとに「実用版」を準備する。簡易版と一般向けを準備する予定は今のところないが,活用状況に応じて将来的に検討する余地はある。公開方法は,電子版は特定非営利活動法人 日本脳腫瘍学会ホームページで公開,冊子版は書籍として発売を予定している。
ガイドラインの適用にあたっての促進要因としては,まず,結節性硬化症は指定難病になっており,患者の経済的負担は軽減されていることが挙げられる。また,ガイドラインで扱うすべての診療内容は保険で承認されている医療行為である。阻害要因としては,結節性硬化症が希少疾患であるために,経験を積み重ねた専門性の高い医師が少ないという点が挙げられる。
3. 有効性評価
   診療ガイドラインの有効性を評価するために,診療ガイドラインの導入によって患者アウトカムが改善したかどうかを,クオリティーインディケータ(QI)により評価する。評価は,ガイドライン委員会が結節性硬化症患者の診療件数の多い施設に依頼する。
4. 改訂
   本診療ガイドラインは,作成時点におけるエビデンス,価値観,社会環境に基づいて作成されているが,新しいエビデンスの登場や医療を取り巻く社会情勢の推移によって,推奨の内容も変化しうると予想される。そこで,改訂が必要となってくるが,どのくらいの期間,どのような方法で改訂を行うかについては,今後の状況変化に応じて,脳腫瘍診療ガイドライン拡大作成委員会で検討し決定する。なお,結節性硬化症に対する薬物療法に関しては,近年,新たなエビデンスの出現が加速しており,今後できる限り遅延なくガイドラインに反映できるよう努める必要があると考えている。

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